日下病院 トップページ > 最新情報 > 手足の痙縮(けいしゅく)「ボトックス(ボツリヌス)療法」を開始しました
最新情報
手足の痙縮(けいしゅく)「ボトックス(ボツリヌス)療法」を開始しました
2021/06/16
当院では、2021年4月より手足の痙縮(けいしゅく)
「ボトックス(ボツリヌス)療法」を開始しました
1.痙縮について
脳卒中の後遺症 としてみられる運動障害のひとつに痙縮という
症状があります。痙縮とは、筋肉が緊張しすぎてしまう状態や、
手足がこわばったり、つっぱったりする状態のことです。
このような状態になると、手の指が握ったままで開きづらい、
肘が曲がり伸びづらい、足の先が足の裏側の方へ曲がってしま
うなどの症状により、日常生活に支障をきたしてしまいます。
リハビリテーションの障害となることもあるので、治療が必要
になります。
●手のひらに爪が食い込んで痛い
●着替える時に痛く時間がかかる
●かかとがつかなく、変な所にタコができる
●つま先が立っていて歩けない(歩きにくい) 等
2.治療について
治療には、内服・ボツリヌス療法・神経ブロック療法等などが
あります。痙縮の程度や範囲、患者様の希望などを考慮し、リ
ハビリテーションとこれらの治療法を組み合わせて治療を行い
ます。
3.ボツリヌス療法とは
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく
質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注射
する治療法です。
ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを
おさえる作用があります。そのためボツリヌストキシンを注射
すると、筋肉の緊張をやわらげることができるのです。
●手足の筋肉が柔らかくなり、動かしやすくなる
●リハビリテーションを行いやすくなる
●関節が固まるのを防ぐ
●痛みをやわらげる
●介護の負担を軽減する
ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、
ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
※日本では、以下のような疾患に対して認可されています
●手足(上肢・下肢)の痙縮
●眼瞼けいれん(瞼がけいれんする病気)
●片側顔面けいれん(顔の筋肉が収縮する病気)
●痙性斜頸(首が斜めに曲がってしまう病気)
●小児脳性まひ患者の下肢痙縮に伴う尖足
(つま先が伸び、かかとが床につかない状態)
●重度の原発性腋窩多汗症(ワキの下に多量の汗が出る病気)
●斜視(両眼の視線が同じ方向に向かない状態となる病気)
●けいれん性発声障害(声帯の筋肉が緊張し、声が出にくくなる病気)等
4.副作用について
副作用として以下のような症状があらわれることがありますが、
これらの症状は多くが一時的なものですが、症状があらわれた
場合は、医師に相談してください。
●注射部位がはれる
●注射部位が赤くなる
●注射部位に痛みを感じる
●体がだるい
●体に力が入らない
●立っていられない
以下の症状があらわれた場合には、すぐに医師に相談してください
ボツリヌス療法後、いつもと違うなと感じることがありましたら、
医師に相談してください
●吐き気がする
●呼吸が苦しい
●全身が赤くなる
●物が飲み込みにくい
●けいれんが起こる
5.治療の進め方について
ボツリヌス療法の効果は、注射後2~3日目から徐々にあらわれ、
通常3~4ヶ月間持続します。
その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうので、治療を続ける
場合には、年に数回、注射を受けることになります。
ただし、効果の持続時間には個人差があるため、医師と相談しな
がら治療計画を立てていきます。
※治療スケジュール
1.治療目的設定
投与日予約
痙縮によって困っていることなどを医師と相談し、
治療の目標を決め、投与日の予約をします。
↓
2.投与
初回投与を行います
↓ 経過観察
3.受診(1~2回)
次回投与日予約
医師と症状を相談しながら、
次回投与日を予約します
↓ 経過観察
4.投与
2回目投与を行います
2回目投与以降は、3~4を繰り返します
●併用してリハビリテーション
※次の投与までの機関には個人差があります
治療の御相談や費用については、お気軽にお問い合わせ
ください